遂に神と遭遇した。
中学生の頃から憧れ続けた神と呼ばれるギタリストを目の当たりにして、まるでその頃に戻ったかのような不思議な感覚に包まれたのだった。
はじめに
完全にリアルタイムで聴いていたのではないけれど、1980年のリリースから約2年遅れでマイケル・シェンカー・グループの1stアルバム『The Michael Schenker Group』【邦題:神(帰ってきたフライング・アロウ)】を聴いたとき、そのメロディアスなフレージングとテクニカルなプレイに完全にやられてしまったことを昨日のことのように覚えている。
当時はLPレコード1枚が2,500円~2,800円の時代であり、現代のCD1枚3,000円と比べると物価的に随分と高価なものであったことはおのずと理解いただけると思う。
そのような状況だったので既に2ndアルバムの『MSG』【邦題:神話】もリリースされていたんだけどお金の無い学生の身としてはとても購入することなど出来ず、この1stアルバムを何度も何度も繰り返し聞いた。
ある程度してからはレコードがすり減るのがイヤだったのとギターをコピーしたくてカセットテープに録音したものを繰り替えし聴くようになっていたのだが、ギターもドヘタでコピーなんか夢の夢だと何度も打ちのめされたことを思い出す。
冒頭で触れたがマイケルを見た瞬間にその頃のことをフッと思い出したのは何故なのか自分でもわからなかった。
さて今回のライブ観戦記ですがセットリストのリポートなどは他の方々におまかせして、自分の感じた内容を思うままに書いてみようと思いますが、ところどころネタバレがありますのでその旨ご承知置き頂きたくお願い致します。
豊洲PIT
2018年8月31日(金)ライブ当日向かった会場は豊洲PIT。

今回のツアーはライブハウスでの開催が多く、この豊洲PITはワンフロアのオールスタンディング。
マイケルのファンは比較的中年層も多いのでこれは好みが分かれるかもしれない。
今回のツアーでも大阪・名古屋・札幌で行われるZeppなんかは2Fが座席になっているので
『スタンディングはちょっとツライ』
という方などはそちらの選択肢もあるけれど、今回の豊洲PITはオールスタンディングなのでやはり苦手な方もいたようで、開場から早いうちに後ろの方でゆっくりと構えて他の観客とは距離を置いている人などもいました。
開場の際はチケットに書かれた整理番号順に係員のアナウンスに沿って入場し、ドリンクカウンターでジャックソーダとドリンクコインを交換してからフロアに向かった。
実際のところ整理番号が決して早い方とは言えない番号だったので
『そんなに前には行けないだろうなあ』
と思っていたのでドリンクカウンターに立ち寄ってからフロアに行ったんだけど、相当数の人がこの時にドリンクを交換せず終演後に交換していた人が多かったのが意外だった。
フロアに入るとここ豊洲PITはある程度の間隔でバー状の仕切りがある(恐らくモッシュ防止用でしょう)のでそのバーの最前に陣取っている人が多く、思ったより前方に空きスペースがあったのでそちらへと向かったのだが、やはりというかなんというかステージに向かって右側のマイケルのポジションサイドに人が多くいたのは気のせいではないでしょう。
ところで自分はというとほぼセンター位置にスペースがあったのでスッとそこに入ると自分の前に縦位置で4人ほどいて、座席で言うと5列目くらいの位置取りをすることが出来た。

しかもスタンディングだから座席よりもっと距離が近いし、サウンドなんかは生音が聞こえてくるくらいのポジションが取れてこれはホントにラッキーだった。
ただ難を言えば19:00の開演に対して開場は18:00で、この位置に着いたのが18:15くらいだったから開演まで45分の間は何をするでもなくただひたすら待っているのは結構苦痛でした。
ライブ本編
開演時間の19:00ちょうどにライブはスタートした。
舞台袖からマイケルが何ともなく普通に舞台に出て来て、ギターを抱えてしばらくするとスポットライトがマイケルをはじめとしたバンドメンバーを一斉に照らす。
そして演奏が始まるとそれまでの静寂が一気に打ち破られた。
それから意外というか2曲目に『Doctor Doctor』を演奏した時には
『えっ、アンコールで演るんじゃなくて?』
と大勢の人が思ったかもしれないが、その意外なセトリに開場のボルテージは一気に急上昇。
ボーカリストも全員登場してのっけから結構ガツンとやられた。
その後もボーカリストが順々に交代しながらライブは進んでいくのだが、予想に反してリリースの新しいボーカリストから古いボーカリストへと時代を遡るように交代していく。
ボーカリストの交代時にはこれまでのマイケル・シェンカー・フェストと同様にインストゥルメンタル曲を挟んで交代するのだが、これもまた良いアクセントとなってライブの進行上いい意味でのブレイクを与えているのだ。
続いて参加メンバーである各々のボーカリストやプレイヤーついて少しずつ個人的な感想を述べたい思う。
ボーカリスト
ドゥギー・ホワイト
まず最初に登場のドゥギー・ホワイトについてはなんとなく
『イングヴェイ・マルムスティーンと演ってた人』
って印象があるものの、自分自身もその頃のイングヴェイはあまり聴かずに初期のリリース作品を今でも相変わらず聴いているくらいなのでなんかこう印象が薄いというのが実際のところ。
でも年齢的には今回参加のボーカリストの中では一番若いし、声もそこそこ出ていたので今後のマイケルとどう関わっていくのかが気になります。
ロビン・マッコーリー
次にロビン・マッコーリー。
彼がマイケルと組んでいた時期は私自身が少し音楽から離れていた頃でもあり、リアルタイムで聴いていないのでこちらもあまり印象が強くありません。
但し、マイケル・シェンカー・グループからマッコリー・シェンカー・グループにバンド名が変わったことに始まり、色々と世間からのバッシングのようなのものが多かったというのは当時少しだけ耳にしたことがあって、なんかこう気の毒に感じてしまうのです。
ただ今でも結構声が出ているので全くもって現役ボーカリストと言って差し支えないでしょう。
グラハム・ボネット
3人目のボーカリストはハードロック界の横山やすしことグラハム・ボネットが登場。
その昔はハードロック界のジェームス・ディーンとか言われてたような気がしますが。
全盛期と比べるとハイトーンがキツイのは年齢的にもやむを得ないと思うけど、なんかこう声の馬力というかパワーというかそういったものを感じさせるボーカリストですね。
リッチー・ブラックモア、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーブ・ヴァイそしてマイケル・シェンカー等々のギターヒーローたちと組んではそのギタリストたちのネームバリューが先行して不遇なイメージがあるんだけれど、自分の感覚としてはこのボーカリストはスーパーギタリストと組む方がより輝きが増すというか、存在感が際立つイメージがありますね。
まあ本人的には微妙なんでしょうけどやっぱり自分はそう感じてしまいます。
ゲイリー・バーデン
声(特に高域)はちょっと厳しいですが個人的にはゲイリーがボーカルのアルバムを良く聞いていたこともあって、ゲイリーのボーカルにマイケルのギターが絡むと往年のMSGを思い出すというか、完全な懐古主義かも知れないけどなんかこう一番しっくり来るような
『おうおう、これこれ』
といった気持ちになってしまう自分がいます。
ちょっと聞くところによると最近ではほぼセミリタイヤのような感じでマイケル関連の仕事のみ活動を行っているようです。
プレイヤー
テッド・マッケンナ
MSGのドラマーと言ってパッと浮かぶのはコージー・パウエルだという人とテッド・マッケンナだという人が多いのではないでしょうか。
自分はコージー・パウエルのほうですが、変な言い方だけど初期の後半というか要するに
『Assault Attack』
『Built To Destroy』
『Rock Will Never Die』
辺りを良く聞いていた人はMSGのドラマーはテッドと言う方も多いのでは。
当日は安定した年齢なりのプレイを見せてくれてベースのクリス・グレンとともにリズム隊をビシッと締めてくれました。
クリス・グレン
いやはや太りましたなあ。
と言ってもここ最近に始まったことではないけれど。
でも<一番>がプリントされたTシャツとエクスプローラーのベースとその体格が何故かマッチして見えるのはもう見慣れ過ぎたせいでしょうか。
安定したプレイはもちろんのこと、ライブ中にも頻繁に観客とアイコンタクトをとっていたのが印象的でした。
スティーブ・マン
縁の下の力持ち的な存在でライブを支えているその姿が印象的。
しかもキーボード兼ギタリストなのでその大変さは推して知るべし。
このポジションと言えば自分的にはマッコリー・シェンカー・グループ時代をリアルタイムで聴いていなかったのでスティーブ・マンより最近のウェイン・フィンドレイがパッと浮かぶほうなんだけど両者とも地味ながら彼等の良い下支えがあってこそマイケルのプレイが煌めくのはみんなの知るところだと思います。
『Rock Bottom』のインプロビゼーション(というか実際はアドリブではなく計算されたフレーズだけどね)でのツインリード風のハモリは聞いていて思わず気持ちよくなっちゃいます。
ライブ終了
19:00ちょうどに始まったライブは本編終了後にアンコールを3曲演奏し、最後の曲『Lights Out』の終わりとともにステージのライトも落ちて終了。
その際の時刻は21:30を過ぎていて、まさかこんなに長い時間演ってくれるとは思わなかったのでプレイの素晴らしさの他にそのボリュームにも大満足で心から
『来てよかった』
と思うものだった。
またセットリストも往年の名曲の他に『Resurrection』アルバムの曲も織り交ぜたなかなか聞きごたえのあるものであったのも結果的にはかなり良かったと思う。

おわりに
自分はマイケル・シェンカーには本当に縁がなくて、積極的に情報を取りに行っていなかったりしたこともあって気がついたら来日公演が終わった後だったりだとかそれ以外にも個人的に音楽から離れた時期があったりだとかでライブに行く機会を逸し続けていたので、今回はようやく念願叶ってという感じでした。
そしてふと我に返ってみるとマイケルを初めて聴いてからなんと36年が経過していました。(笑)
過去にはマイケル自身もコンディションが悪い時代もしばらくあったけど、今回ライブで触れたそのギタープレイはまさにこれぞマイケルというその姿であり、心からマイケルが元気にプレイ出来るうちに行けて良かったと思ったし、陳腐な表現だけど最高という言葉がふさわしいライブであったことをお伝えしてこの記事を終わります。
